新国立劇場 ドン・パスクワーレ ノリーナ役の変更について

今年の秋、新国立劇場のドン・パスクワーレで来日予定だった
Danielle de Niese(ダニエッラ ドゥ ニース)から

Hasmik Torosyan(ハスミック トロシャン)へ変更になりました。

 

新国の発表内容詳細はコチラ

ちなみに、ドゥ ニースの降板理由は”本人の都合”とありますが、

Danielle De Niese is set to make her Teatro alla Scala debut.

The soprano was tapped to replace Cecilia Bartoli in the role of Cleopatra in Robert Carsen’s new production of Handel’s “Giulio Cesare.”

ということで、バルトリの代役としてスカラ座から声が掛かったので、「どうせだから新国よりスカラ座を選ぶわ!」
となったのが理由です。
なぜ新国はこのことを”本人の都合”で片づけてしまうのでしょうか?

なお、このドゥ ニースは
大野和士が「ノリーナ役として世界最高だ!」と豪語していた人ですが、私は全くその意見には賛成していない旨を過去記事にも書きました。

 

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では、ドゥ ニースの代役としてノリーナ役を歌うトロシャンの実力はどうか?
ということに当然関心が集まります。

 

アルメニア出身で、ペーザロやボローニャで今回共演するミロノフとも歌っているようなので、そういう面では安心感があります。
レパートリーもロッシーニ、ドニゼッティ、ベッリーニのベルカント物とど真ん中で、今回のノリーナ役は経験がないようですが、今まで歌ってきた曲から考えれば全く問題がなさそうです。

 

 

ドニゼッティ 連隊の娘 マリーとトニオの二重唱
テノール Maxim Mironov

この演奏が2018年のボローニャでのものということで、
よっぽどのことがない限りはこの質の演奏が期待できる訳ですね。
タイトルロールにはスカンディウッツィという現代屈指のイタリア人バスを迎えるのですから、もしかしたら19-20シーズンで最もキャストが充実した演目になったかもしれません。

大野和士にとっては残念だったかもしれませんが、
多くの聴衆にとってこの交代は有難いものとなるのではないでしょうか?

少なくとも私はトロシャンの方がドゥ ニースより全然上手いと思います。

まだトロシャンの演奏を分析できるに十分な音源がYOUTUBE上にないので、詳しい言及は控えますが、
5年以上前に歌った夜の女王のアリアでは、音程が全くハイFに届いていない部分があったりと、不安定さが聴かれましたが、このデュエットでは響きも音程も安定しており、声もブッファ役としては表情がまだまだ乏しいものの、丁寧な歌い回しと、声が決して横に平べったくならないことには関心しました。

 

現状では私は聴きに行けるか未知数ですが、
回復したらチケットを取りたいと思える公演です。

 

 

 

 

 

 

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